Q1遺産分割はどのようにやればいいの?

相続人が2人いれば遺産を分ける必要がある

相続人が2人以上いる場合は、相続分に応じて遺産を分けることになります。
遺産が全部現金や預金であれば割合どおりに分ければいいのですが、実際は土地・建物があったりダイヤや絵があったり色々です。
これらの評価額は見方によって変わるし、仮に評価が一致しても、相続分の数字どおりにスパッと分けられない場合があります。


遺産を売った代金を分割することだってできる

分割は大きく分けて以下の3つの方法があります。

現物分割遺産そのものを現物で分けます。
全部を共有にしてもよいし『この土地はAのもの』『この土地はBのもの』『ダイヤと絵はCのもの』と分けてもかまいません。多少の損得は気にしないということが多いでしょう。
代償分割上記の現物分割の結果、あまりにも相続人間の差が激しい場合は、少ない者に対してその分のお金をあげます。
現物をまったく受け取らない者に対しては、まるまるその分のお金を払って現物の代わりにしてもいいのです。
換価分割遺産を売って、その代金をみんなで分けます。
しかし、換価代金には譲渡所得税がかかります。

法律はこう言っている

以上の3つのやり方をうまく使い分け、相続人同士が話し合って分割内容を決めます。
仲良く話し合いができればいいのですが、そうはいかない場合もあります。

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そこで、法律は遺産を分ける場合の基準を以下のように定めています。
『遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類及び性質・各相続人の年齢・職業・心身の状態および生活の状況・その他一切の事情を考慮してこれをする』
一見曖昧なようですが、この法律が言いたいことは、
『各相続人が成り立っていくように、少しの凸凹には目をつむって平等にやりなさい』ということです。


協議が決裂したときは・・・

具体的な遺産分割の方法は以下の3つがあります。

協議相続人(包括受遺者・相続分譲受人を含む)全員の協議でします。
全員が一堂に会して協議するのが普通ですが書面や持ち回りでもかまいません。
全員が納得して協議が成立すれば、分割内容は平等である必要はありません。
この協議は全員の意思の合致が必要であって、多数決によることはできません。
いったん成立した協議は基本的にやり直しはできません。
協議が成立したら遺産分割協議書を作成し、全員の実印を押し印鑑証明書をつけます。
調停共同相続人間で協議が調わないときやはじめから相続人の一人が協議に加わろうとせず、協議ができない場合は家庭裁判所に調停を申立てます。
調停は調停委員の立会いのもとに行われますが、内容は相続人全員の合意で成立するものであり、強制されることはありません。
合意が成立しないときは、調停は不成立となります。
しかし、調停が成立すれば合意のとおりの調停調書が作成され、これには確定判決と同じ効力が発生します。
審判これは、家庭裁判所がする一種の裁判のことです。
裁判所は当事者や利害関係人の言い分を聞いて、色々な調査をして、具体的な分割の審判つまり決定をします。
家庭裁判所は、必要があれば、遺産の全部または一部について分割を禁止することもできます。

いったん成立した遺産分割の効力は?

遺産分割が協議であれ調停または審判であれ、いったん成立すれば遺産の分割は確定します。
あとになって特別受益や寄与分を主張することは許されません。
ただし強迫によって成立した分割はあとになっても無効・取消しの主張ができるときがあります。


遺産分割後に認知した子が現れたら?

この分割は相続開始のときに遡って効力を発生します。
これは、被相続人の死亡によって相続自体は自動的に発生しているのであって、分割自体がなされていないだけだからです。
つまり、分割をする前は、遺産は相続人の共有状態にあるが、分割後は遡って初めから分割されていたことにして共有の時期はなかったことにするためです。

ただし、相続開始から遺産分割成立のまでの間に第三者にその共有権を譲った、などという場合には善意で譲り受けたものの権利を害することはできないので、その善意の第三者は保護されます。
また、遺産分割後に認知によって相続人となった子がいることが判明した場合は、その子は具体的な物ではなく金銭によってのみ自分の相続分の請求をすることができます。


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Q2遺言が見つかったけど、どうすればいいの?

遺言発見!さあどうする?

相続開始後に遺言があることが判明した場合は、まず、その遺言が果たして法律上有効な遺言であるかを確認します。

遺言能力

遺言をするには意思能力が必要です。
満15歳以上であれば未成年者でも遺言はできます。
成年被後見人・被保佐人もできます(一定の条件あり)。

遺言方式
自筆証書遺言
  • 1.全文が自筆であること
  • 2.日付けがあること
  • 3.署名があること
  • 4.押印してあること
公正証書遺言
  • 1.証人2人の立会い
  • 2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授
  • 3.公証人が遺言者の口授を筆記し、遺言者・証人に読み聞かせる
  • 4.遺言者・証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名・押印
  • 5.公証人が上記4つの方式に従ったものであることを付記して署名・押印
秘密証書遺言
  • 1.遺言者がその証書に署名・押印
  • 2.遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章で以って、これに封印
  • 3.遺言者が、公証人1人び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨と、その筆者の氏名、住所を述べる
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検認と封印?

遺言には『検認』という手続があり、これは家庭裁判所が遺言について一応の確認をする手続であって、遺言の効力を左右するものではありません。
遺言に封印があるときは、開封は家庭裁判所でしなければなりません。


遺言で贈与?

遺言が有効であれば、原則として遺言書どおり遺産分割がされます(ただし、例外あり)。
遺言は遺言者が死亡したときからその効力を発生します。
遺言には、相続人の廃除、子の認知、祭具・系譜・墓地などの承継者についての指定などが書かれているものもありますが、主なものは相続分の指定遺贈です。

遺贈というのは、つまり『遺言で贈与する』ことです。
この遺贈には『特定遺贈』『包括遺贈』があり、包括遺贈は遺産に対して割合で遺贈するもので、相続と同じ効果があり、その割合だけ相続するのと同じです。
よって、マイナスの遺産についても受け取ることになるので、借金が多ければ相続放棄と同じ手続で3ヶ月以内に家庭裁判所に申述をしなければいけません。
相続開始以前に受遺者が死亡したときは、その部分に関しては遺言は効力を生じません。


遺言の取消しも遺言でする

遺言の取消しは遺言によってします。
と言っても、前の遺言と内容が抵触する遺言をすれば、前の遺言を取消したことになります。
つまり新しい遺言は古い遺言に優先するのです。
ただし、新しい遺言に記載されていない内容については依然として古い遺言が有効になります。

また、遺言者が故意に遺言書を破棄すれば、その遺言を取消したことになります。
『破棄』には破るだけではなくて、遺言を塗りつぶすような行為も含まれます。
この場合でも、遺言が偶然に破れてしまったとか他人に破られたような場合はここでいう破棄にはならないので、その遺言書のコピーや証言その他あらゆる方法で遺言の存在を立証できれば、遺言は実行できます。


遺言執行者の権限は絶大!

遺言の執行は相続人全員で行うのが原則ですが、そうすると分割協議が成立しても登記をする際の申請書に全員の実印を押印しなければいけません。

ただし、遺言に遺言執行者の指定があれば、その執行者が就任を受諾すれば唯一の遺言執行者になるので、相続人は執行権を失い、たとえ勝手に執行したとしても無効になります。
遺言執行者は遺産目録などを作成したうえで、不動産の登記手続き、預金の名義変更などの相続手続の一切を単独で、つまり自分一人の印で行うことができます。
相続人が遺言執行者になってもかまいません。
遺言執行者になれないのは『未成年者』『破産者』だけです。


遺言では遺産分割の方法も決められる

被相続人は、遺言で相続分を定めるだけでなく遺産分割の方法を定めることもできます。

また、分割の方法を定めることを第三者に委託することもできますし、相続開始から5年間を越えない間の分割を禁止することもできます。
分割の方法を定めるということは相続分に応じてということを前提にしています。
法定相続分に応じた分割方法ならば遺留分を侵害することはありませんが、もし、その分割の方法が遺留分を侵害している場合には、その分割の方法は遺留分権利者の減殺請求を受ける可能性があります。

また分割方法の指定という形で相続分の指定が含まれることもあります。
例えば、『長男には○○の建物と○○の土地をやる』と書かれていた場合これしかやらないという意味であれば遺産分割の方法の指定と相続分の指定をも含めた遺言といえるでしょう。
なお借金については遺言によっても『この借金は次男が負担せよ』などとすることはできません。
よって、債権者は全相続人に法定相続分に従って請求することができます。


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Q3遺留分とはなんですか?

遺留分は遺言に勝る!

遺留分とは『配偶者や子・親などに1銭の財産を残さず、愛人に全ての財産をあげる』といった遺言があった場合に、それでは配偶者や子・親などが生活できなくなってしまうと困るので最低限の相続分を保障するといった制度です。
つまり法定相続分のうち、遺言で勝手に減らすことができない部分が遺留分なのです。

遺贈だけでなく被相続人の死亡から1年以内の贈与も遺留分を侵害していれば取り返されます。
1年以上前の贈与でも遺留分を侵害することを知ってなされた贈与は同じく対象になります。


遺留分はどれくらいあるの?

遺留分が確保してくれる範囲は、原則として遺産の1/2です。

遺留分権利者遺留分
配偶者のみ全財産の1/2
子のみ全財産の1/2
子と配偶者配偶者⇒全財産の1/4 子⇒(全員で)全財産の1/4
配偶者と父母配偶者⇒全財産の2/6 父母⇒(2人で)全財産の1/6
直系尊属のみ全財産の1/3
兄弟姉妹遺留分なし

遺留分も行使してなんぼのもん

しかし、この遺留分は絶対なものではありません。
遺留分を侵害するような遺言や贈与をしてはいけない、ということではないのです。
つまり、相続人が遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は『遺留分減殺請求権』という権利を行使してその分を取り返すことができる、ということなのです。
言い換えれば遺留分権利者が自分の遺留分を侵害されていてもかまわないのであれば、遺留分を侵害した遺言や贈与はそのままの割合で効力を生じるということです。


1年前の贈与は減殺される可能性あり

では贈与に対する減殺請求はどうすればよいのでしょうか?
遺留分の減殺請求の対象となる贈与は、普通は特定の相続人に対する贈与ですが、相続人でない第三者に対する贈与の場合もあります。
果たして、すでに第三者に贈与され、被相続人の財産でなくなってしまったものに対しても減殺請求はできるのでしょうか?
遺留分減殺請求権の対象となる遺贈と贈与にも順番があり、それは以下のとおりです。

(1)遺贈 (2)贈与

贈与は故人の生前にすでに行われているものであり、その減殺は遺贈より後になります。
つまり遺贈を減殺してもまだ遺留分が侵害されている場合にのみ、さかのぼって贈与の減殺請求ができるのです。
この場合も、まず新しい贈与を先に減殺し、それでも足りない場合に順次前の贈与が減殺の対象になります。
しかし、全ての贈与が減殺請求の対象になるわけではありません。

(1)相続開始前1年間の贈与
(2)遺留分権利者に損害を加えることを当事者双方が知ってなされた贈与

の2つが減殺請求の対象となる贈与です。
これは、善意でなされた10年前の贈与が後からひっくり返されるようなことがあれば、もらったほうも不安で困ってしまうからです。


減殺請求はお早めに

では、遺留分減殺請求権の行使期間はどれくらいあるのでしょうか?
減殺請求の行使は相続開始及び遺留分を侵害されたことを知ったときから1年以内です。
また相続開始から10年の経過により無条件に期限切れになります。


減殺請求の主張は結構簡単

実際の行使方法には、特に方式があるわけではありません。
相続人が集まった分割協議の席上で主張してもかまわないのですが、これだとあとになって水掛け論になるかもしれないので内容証明裁判所に手続をしたほうがいいでしょう。
このときに、遺留分の計算を正確にするのは困難ですので『遺留分を侵害されているからその減殺を請求する』と主張すれば権利を行使したことになります。
具体的な計算はあとからすればいいのです。

内容証明を送るのであれば、遺留分を侵害したと思われる相続人・受遺者・受贈者全員に対して行います。
結局は家庭裁判所に対し、遺産分割の調停または審判を請求することになることが多いでしょう。
減殺請求をしたあとに、遺産を処分されてします危険性があるのであれば、裁判所に遺産の処分禁止の仮処分を求めることもできます。


遺留分の放棄はできるのか?

遺留分を放棄することはできるのでしょうか?
相続開始後であれば遺留分を放棄することは自由です。
しかし、相続開始前に放棄するには家庭裁判所の許可が必要です。
これは、強引な圧力による遺留分の放棄を防止するためです。


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